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撮影:後藤 天

ヴォカリーズ・レッスン

2022|パフォーマンス

Vocalise Lesson

作曲家の松本真結子さんとの共同作品。

ぼくのほうで一方的に「これはこういう作品だった」と書くことはできないので、当時のことで覚えていることを断片的にメモしようと思います。

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松本さんとの話し合いは短期間ながらも濃密なもので、たくさんの発見があった。

とくにハッとした(ハラハラさせてしまった)のは、本番までの「準備期間」の捉え方の違いで、作曲家という専門性からも当然のことなのだが、松本さんは事前にしっかりと構成を組みあげ、楽譜という人に共有できる形にして本番に臨むことが通常であるのに対して、ぼくは本番に入ってからようやく考えが進むことが多いため事前期間はあれこれイメトレしてるだけで、そのプロセスを人に共有する方法がないことに気付かされた。話し合ううちにだんだんと、それぞれの「準備期間」の意味するものが全く異なることがわかり、そもそもどうやったら作品にとりかかることができるのか、そこから悩むことになった。

上記の違いは、煎じ詰めると、作品という時間に「どんな質感を見い出そうとするか」の違いであり、それはきっと当人が創作をする動機のかなり深く、込み入った部分のため、とうてい短い期間で完璧にすり合わせできるものではなかったし、どちらかがもう一方を説得して作品づくりを進めるようなものでもないだろうと感じた。

別々の考え方のまま進むなかで、少しずつ意識されていった役割分担としては、関川は「語り・パフォーマンス的な観点」から・松本さんは「音楽・音響的な観点」から応答しあうということだった。こう書き出してみるとだいぶ当たり前のことのように思えるけど、自分と相手のエリアを認識し、ズカズカと相手のことを踏み抜かず、でも同時に相互作用するためのバランス感覚は非常に崩れやすく、なんとかそのバランスが成立していったのは、ひとえに松本さんの誠実さによるものだった。

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こういった共同制作の機会を得て気がついたのは、自分には松本さんにおける「作曲」のような専門性が備わっていないということだった。

特定の方法論を修練してきたわけではないこれまでの自分の作品制作は、場当たり的で、良いように言えばその都度の考えをどうやって表すのが良いかイチから考えてきた。

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この時期ぼくが考えていたことを、今振り返るとすれば、

・私的な語りを意味内容ではなく、音として捉えてレスポンスすること/されること

・語りかけるという行為が、意味として届く/音として届くこと

・届いているから反応していること/反応しているから届いていると思うことの違い

・反応がないならそれは届いてないと思うこと/反応がなくてもきっと届いていると信じることの違い

これらは、その時期に起こった個人的な出来事を、どうにか音楽的に扱えるように方向づけて抽象化した問題意識で、これらが何かを行うことの直接的な動機にはならないことに気がつく。

本当は、実家の猫が死んでしまって、沈んだ気持ちがあり、そのことならば「本当に」喋ることができる。しかし、それを「作品」のためのモチベーションにすることの後ろめたさやグロテスクさを感じていた。

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死んだ猫を「作品」のためのモチベーションにする後ろめたさ自体をモチベーションにする、ということならば進めるかもしれないと思った。

語りを音として変換することによって、語りの意味を隠すことができる

歌詞を伴わない、母音だけでの歌唱法である「ヴォカリーズ」という言葉を教えてもらって、なにかヒントがあるように思った。

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(まだ追記・修正します)​

出演:
関川航平

松本真結子 https://mayukomatsumoto.com/

溝淵加奈枝 http://kanae.uunyan.com/

 

音響:野崎 爽、櫻内憧海

映像撮影:後藤 天、今堀拓也

企画制作:西村聡美(東京コンサーツ)

製作:東京コンサーツ

公演レビュー:

河野聡子〈猫は死んだのかそうではないのか、そもそも猫ではなかったのか〉

https://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/49993/#kono

堀内彩虹〈感覚の膜にひっかかる澱としての声〉

https://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/49993/#horiuchi

当日の座席に設置していたハンドアウト

https://www.tokyo-concerts.co.jp/.../20221227_TCL_handout...

(A4の紙にプリントし、それぞれの座席に一枚ずつ置いていました。実際の会場の平面図と客席を模した図になっています。)

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