Sekigawa Kohei

撮影:おむにぼろ
勝田駅と阿字ヶ浦駅を往復する
2024|ウェブサイト、パフォー マンス
People Keep on Learning
みなとメディアミュージアム2024に出展した作品。
タイトルの『勝田駅から阿字ヶ浦駅を往復する』通り、湊線の始発駅である勝田駅から終着駅の阿字ヶ浦駅までの間を往復し続けるパフォーマンス。
特設のウェブサイトをつくり、同行を希望する方には応募フォームから連絡をもらい、勝田駅で待ち合わせをしてだいたい1時間半くらいの時間を一緒に過ごしました。
英語タイトルは、Stevie Wonderの『Higher Ground』の冒頭の歌詞から取って、『People Keep on Learning』としました。
構造的な日本語タイトルと、詩的な英語タイトルをつなぐ、この意訳の間には何があるのかを考え続けています。
同行してくれた人のひとりが、くるりの『東京』に出てくる「あいかわらず季節に敏感でいたい」という歌詞について思い話をしてくれました。小さい頃の彼は、わざわざ"敏感でいたい"と言わなくても、「季節の変化にはずっと敏感でいれるでしょ!変なの!」と思っていたそうです。それから時間が経って、果たしていまの自分は季節に敏感でいられてるのかどうか疑わしくなってしまい、それが少し悲しいようでした。
また別の同行してくれた人は台湾からの旅行者で、彼はすこし困惑した様子ながらも、好奇心をもって「いったいこれはどういった作品なのか」とたくさん質問をしてくれました。
ふたりとも英語がままならず、夕暮れていくガラガラの電車内で横並びに座りながら、それぞれのスマホの翻訳アプリにむかってお互いの第一言語を一生懸命喋っては、相手の言葉で表示された画面を覗き込みあいました。
終着駅について折り返しの電車の出発を待つ間、駅のホームに降りると、夕焼けがとても綺麗だったので、「あの空は決して僕の作品ではないけど、作品と同じ時間の中にあったものです」とスマホに喋りかけて、翻訳後の画面を見せるとうんうんと頷いてくれましたが、伝わっているのかは確かめきれないままでした。
始発駅に戻り電車をおりて別れるとき、彼が見せてくれたスマホには「この後台湾に帰る」「この作品は続く」と表示されていて、良かったなと思いました。

